1.CDC Miniature Light Trap の開発
(Public-Health Pesticides Applicator Training Manual; University of Florida and the American Mosquito Control Associationから引用、ならびにRutgers SEBS Dept. of EntomologyのHPを参考にした)
(1)ニュージャージー・ライト・トラップ
ライトトラップの開発は1942年にMulhernが考案のNew Jersey Light Trap(NJ)に始まる。このトラップは蚊成虫のサーベイランス(調査)における、人的労力の削減とサンプリング(採集)の偏りをなくすという優れものだった。NJはその後も長期的かつ定点的調査に使用される基本形だが、110Vの電源がない地域では使えない。
(2)CDCミニチュア・ライト・トラップ
そこに登場するのが、1962年にCDC(Center for Disease Control and Prevention・米疾病予防管理センター)が開発したCDC Miniature Light Trapである。いわばNJ型の改良ともいえるミニは、蚊類を生きたまま捕らえ、乾電池で作動するポータブルな捕獲器という利点を備え、どんな調査地域にも適応できる。このため、米国内にとどまらず世界中の大学や国の研究機関が、蚊のサーベイランスにこぞって用いるようになった。
(3)CDCミニチュア・ライト・トラップの利点
ミニチュア・ライト・トラップには継続的な改良が加えられるのだが、基本的な形態や仕様は開発当初のまま、現在の#512型に引き継がれている。したがって、国際的に有力なジャーナルに数多く収載される、ミニを用いた殺虫剤の実地効力試験の効果判定報告例等は、調査地域や年代を問わずそれぞれを比較検討することができる。
2.CDCミニチュア・ライト・トラップの正しい仕掛け方
(1)日暮れごろから明け方近くまでの夜間サンプリングに供する。
(1~7夜/週のような平時からの定期的観察が肝要)
(2)トラップの仕掛け場所と位置
・街灯や庭園灯から遠ざけ、地上5.5~6ft(約1.6~1.8m)の位置に吊り下げること。三脚の利用や木の枝にぶら下げてもよい。
・建築物から少なくとも3ft(約0.9m)離れた樹下や低木の近辺に仕掛けること。
・月明かりはCDCミニチュア・ライト・トラップの捕捉能を弱めることがある。もし、月明かりが直接にトラップに射すようなら、光をさえぎる樹陰につるすこと。
・ドライアイス2lb(約1Kg)のブロックを新聞紙で固く包み、トラップ上に取り付けると捕捉効果が上昇する。
鵬図商事株式会社 顧問 岩本龍彦