はじめに

 輸入餃子のメタミドホス残留問題が、PCO業界にまたひとつ思わぬ波紋を投じた。この問題には二つの側面がある。ひとつは、使用禁止の農薬が中国ではいまだに隠れて使われるという事実。次いで、問題の餃子が日本国内の食品施設でどのように扱われたかだ。
 上述のような背景から、当初は具の野菜類に残留した農薬が餃子に移行(キャリーオーバー)した線も捨て切れなかった。しかし調べが進むうち、一部製品にのみ高濃度で検出されることが分かり、がぜん事件性を帯びた。いずれにせよ、06年に導入のポジティブリスト制度が機能しなかったのだから、輸入販売業者等の責任は大きいと言えよう。
 ところが問題の餃子を詳しく調べる過程で、今度は包装袋の外側からジクロルポスが検出されたから、事がややこしくなった。国内の食品取り扱い施設で、ジクロルポスの用法違反が疑われたのである。徳島県は時を移さず生協と施工業者を用法違反で行政指導した。ジクロルポス蒸散剤には用時の安全性を疑問視する声も多く、用法用量や使用上の注意の改訂について、厚労省が平成16年11月にあらためて通知したばかりだった。
 今年1月には「建築物環境衛生維持管理要領」の改正とともに「建築物における稚持管理マニュアル」が通知された。また「-般用医薬品及び医薬部外品としての殺虫剤の室内使用時のリスク評価ガイドライン」や「殺虫剤指針改定」についても、パブリックコメント募集を経て実施の運びである。こうした一連の動きにより、わが国の環境衛生用薬剤もいよいよ世界水準に近づく。防除業界には研修教育の機会増などで応えるなどが求められることになろう。今回の事件を振り返りIPMの理解と実践に努力したいものだ。(龍)

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