オバマ政権発足後5か月ほどが経とうとしている。失速したアメリカ経済の建て直しにグリーン・ニューディール政策の奏効を、世界各国が期待して見守っている。
グリーン・ニューディール政策の原点となったのは、ロンドンに本部を置く新経済財団(NEF)が中心となって、斯界権威者の見解をまとめ、08年7月21日に発表した画期的な報告書だ。報告書には地球温暖化や世界金融危機、および石油資源枯渇に対する一連の政策提案に伴う金融と租税の再構築ならびに再生可能エネルギー資源への積極的な財政出動に関する提言が盛り込まれた。その底流にあるのがまさに環境問題である。このような経緯もあって、誰が環境保護庁(EPA)長官に任命されるか、新政府発足直後からのアメリカ経済界の最大関心事のひとつとなっていた。
就任したのはEPAに21年勤務のベテラン吏員リサ・P・ジャクソンさんだ。「大統領が私を選んだなんてとっても光栄よ」「あなた達の力を貸してほしいの。大統領はきっとすばらしい環境保護政策を打ち出せるわ」。EPAホームページで全職員に向けた就任挨拶で、彼女は5つの方針を示す。温室効果ガスの更なる削減、大気汚染防止の強化、化学物質の管理強化、有害廃棄物処理施設の環境汚染撤廃、および水資源の保護と汚濁防止である。
アメリカPMP業界は、これらの施策がPMPの仕事をもろに圧迫しかねないと懸念する。業界は時をおかす、グリーン(エコ)防除の教育研修にさらなる注力を表明した。
エコ防除の波は、すぐにも日本のPCO市場にも押し寄せるだろう。わが業界にとって当面の課題は、「建築物における維持管理マニュアル」の遵守とその普及に違いない。(龍)