この習性により防除が困難になる
ピントアソシエーツ社長 ローレンス J ピント
ラットは人間の身近な生活環境に適応していますが、警戒心を持ち続けています。マウスは縄張りに置かれた新しいものに対して強い好新性を示しますが、ラットはそれとは正反対の習性を示します。この新しいものを警戒するということを一般的に「忌新性」といいます。
忌新性はネズミ防除においてどのような障害があるでしょうか。縄張りに設置したパチンコを避けることがあります。殺鼠剤を少量しかかじらないことがあります。新しく設置したベイトステーションを避けることがあります。
飲食店でのラット防除を始めたと仮定します。そこに出没するラットは大型ゴミ集積所、ゴミ箱、駐車場の裏、フェンス沿いに散らかったゴミなどを餌場としています。そこで、レストラン周辺の衛生状態を改善し、殺鼠剤やパチンコを設置します。しかし、防除を開始して一週間目の変化はほとんど見られません。それは、ラットが見慣れないものや環境の変化を警戒する習性があるからです。忌新性は、殺鼠剤やパチンコでの防除を困難にします。特に新しく置かれたものに対する警戒心が強い個体群だとそれが顕著になります。
大多数のラットは、縄張りに新しいものを置かれると最初はそれを避ける傾向にあります。慣れるまで、最低でも数日間はこのような状況が続きます。また、ラットは特定の食べ物を採取している場合、新しく置かれた餌をも避けることもあります。その後、しばらくしてから殺鼠剤を少量だけかじるかもしれません。しかし、その採食行動で嫌悪感を安全性獲得するようなことがあれば、それに類する殺鼠剤は避けるようになります。また、パチンコで捕らえられずに脅かしてしまうと、それを避けるようになります。
どのような群であっても、数匹のラットは一夜目に新しく置かれたものに接近して調べようとします。他の多くのラットは一週間以上警戒を続け、中には数ヶ月にも及び様子を見続けるラットもいます。残った群は、非常に警戒心が強いため、パチンコに捕まらず、殺鼠剤も食べないでしょう。
ラットの忌新性は時間をかけて餌慣らしやトラップ慣らしをすることで克服できます。パチンコやベイトステーションを数日間無効な状態にしておくと、ラットも次第にその新しいものに慣れてきます。その後、殺鼠剤とパチンコを設置すれば防除効果が高まります。
(ベイトステーション):ロガードクラシック
(パチンコ):ビッグスナップE